子どもはうつな気持ちをうまく表現できない
「子どものうつ病はない」といわれていました。それは、憂うつになるのは、人格や性格が形成された大人だけだと考えられていたからです。
ところが最近では、子どもがうまく心の状態を表現できないため、子どものうつ病が発見されにくかったのだと考えられています。
子どもは憂うつな気分を感じてもうまく表現できません。
「お腹が痛い」「頭が痛い」「食欲がない」「眠れない」といった体の症状として、うったえることが多いです。
そのため、これがうつ病の症状だとは、気づかないのです。
小児科や内科を受診して異常がなければ、「仮病なのでは?」と考えがちで、子どものうつ病のサインに気づかないのです。
子どものうつ病の特徴
心の症状よりも体の症状が目立つ
身体症状
心の症状を説明できないので、腹痛や頭痛、食欲不振、不眠などの体の不調をうったえます。
イライラ・甘え
不安定な気持ちを上手く伝えられず、怒りっぽくなったり、反抗的な態度をとったりします。反対に急に甘えるなど、極端な反応が出ることもあります。
不登校・引きこもり
学校を休んだり、部屋から出てこないなどの行動が、うつ病のせいであったりします。
環境の変化がきっかけとなりやすい
学校や友人との関係の変化
失恋やいじめ、苦手な先生がいるなどのいやな状況だけでなく、「部活の部長に選ばれた」「希望の学校には入れた」など、よいことがきっかけになることもあります。
家庭環境の変化
両親の離婚、家族の死などの大きな変化のほか、母親と祖母の不仲、父親の単身赴任、引っ越しなどがきっかけになることもあります。
他の疾患と紛れがち
パニック障害や強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)から、うつ病を発症することがあります。
高機能自閉症(ADHD)や素行障害、摂食障害とうつ病を併発することもあります。
子どものうつ病の特徴関連ページ
- 子どもがうつ病なのか一時的な憂うつ気分なのかの違い
- うつ病は大人だけに起こるものではありません。子どもにもうつ病は起きます。うつ病か単に一時的な憂うつな気分なのかの違いを紹介します。
- うつ病は「気のもちよう」では治らない
- うつ病は気の持ちようでは治りません。病気ですから適切な治療が必要です。
- 子どもはどうしてうつ病になるのか?
- どうして子どもはうつ病になるのでしょうか?そのメカニズムと子供ならではの原因を紹介します。
- うつ病の症状は心と体に現れる
- うつ病の症状は心と体に現れます。どのような症状が現れるか示します。
- うつ病になりやすい子どもの環境
- どのような環境で育つ子どもがうつ病になりやすいのでしょう?うつ病になりやすい危険因子、傾向を示します。
- カフカに学ぶうつになりやすい親との関係
- 文豪カフカは遺した手紙の中で父親との確執を著しています。子どものうつ病の原因対策の参考になるかと思います。
- スキンシップが少ないとうつ病などの心の病を引き起こしやすい
- 幼児期と学童期にスキンシップが欠落して育つと、うつ病などの心の病を引き起こしやすいと言われています。