カフカに学ぶうつになりやすい環境
カフカは「変身」などの作品で有名な文豪です。しかし、彼の遺した手紙や日記には精神的な葛藤が詰まっていました。なかには不安障害やうつ病のような内容も見受けられました。
文豪カフカは遺した手紙の中で父親との確執を著しています。
僕が何かあなたの気に入らないことを始めると、
お父さん、あなたはいつも、「そんなものは失敗する」と脅かしました。
そう言われてしまうと、
僕はあなたの意見をとても敬い、怖れてもいたので、
失敗がもはや避けられないものになってしまうのでした。
僕は、自分がやることへの自信を失いました。
根気をなくし、疑心暗鬼になりました。
僕が成長するにつれて、
あなたが僕のダメさを証明するために突きつけてくる材料も増えていきました。
そうやってだんだんと、あなたの意見の正しさが、実証されていくことになったのです。
父親から負の評価ばかりされ、自信をなくしていった経緯がよく分かる文章です。うつ病になってもおかしくありませんね。
こちらはカフカが父に当てた手紙です。尋常でないネガティブさが伝わってきます。
自分は小学校1年も修了できないだろう、と僕は思い込んでいました。
実際はそうはなりませんでしたが、それでも自信は湧いてきません。
逆に僕は、成功が重なるにつれて、最後はそれだけ惨めになるにちがいないと、かたくなに信じていました。
こんな状態で、どうして授業に身が入るでしょう?
どの教師が僕から向学心の火花を引き出せたでしょう?
授業に対する僕の興味は、銀行で横領をした行員が、発覚を恐れてびくびくしながら、日常の業務をこなしているときの、心ここにあらずの状態と大差ありませんでした。
カフカは子供の頃から自分はダメな人間だと思い込んでいました。自分の失敗を責めてばかりで、成功しても喜ばず、成功すると逆に不安にさえなっていました。
自己肯定感がほとんどなかったのでしょう。こういった子供に対しては親がフォローしてあげないといけませんが、カフカの父はとても厳しく、それがカフカをさらに萎縮させてしまうのでした。
参考文献:絶望名人カフカの人生論
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