睡眠障害の種類と問題
睡眠障害は子供のうつと密接に関係しています。
睡眠障害は、睡眠の状態や時間などにより、いくつかの種類に分かれます。
睡眠障害の種類
入眠障害
ふとんにはいっても、なかなか寝つけない。考え事に悩まされる。不眠症のひとつです。
中途覚醒
眠っても夜中に何回か目が覚めてしまう。不眠症のひとつです。
早朝覚醒
日が昇る前に目が覚めてしまい、そのまま眠れなくなる。不眠症のひとつです。
熟眠障害
夢を見ている割合が多く、浅い眠りが続く。ぐっすり眠った気がしない。目覚めた後に疲労感が残る。不眠症のひとつです。
過眠
どんなに眠っても眠気がとれず、昼過ぎや夕方まで眠っている。また、日中に強い眠気を感じて、眠ってしまうこともある。
子どもの睡眠障害で起こりやすい問題
- 生活リズムが乱れる。
- イライラしやすくなる。
- 注意力や集中力が低下する。
- 家族も睡眠不足になる。
- 食生活が乱れ、バランスのとれた食事がとれなくなる。
- 起こそうとする親に子どもが反発する。
- 脳の発達に影響する。
- 糖尿病などのリスクがある。
子供に必要な睡眠時間
子供に必要な睡眠時間は、米国睡眠財団の基準によると、小学生(高学年)で10時間、中学生、高校生で8.5時間とされています。
ところが、日本における実際の睡眠時間は、小学生(高学年)で8.5時間、中学生で7.3時間、高校生で6.6時間と基準より1〜2時間下回るものとなっています。
この睡眠不足が心身に変調をきたし、不登校になってしまうケースも少なくありません。文部科学省が行った実態調査では、3人に1人が睡眠などによる生活の乱れが不登校のきっかけになったと回答しています。また、全国の小中高生の64%が午前の授業が眠くて仕方ないと答えており、睡眠不足の問題が浮き彫りとなっているといえます。
子どもの睡眠障害の原因
子どもの睡眠障害の多くは生活の乱れが原因にあります。具体的には次のようなものが生活の乱れにつながると考えられています。
- 部活
- 塾・勉強
- 対人関係
- 身体疾患
- スマホなどのIT機器
部活や塾・勉強は一見よさそうに思えますが、部活や塾は年々深夜や早朝に及ぶようになり、それが睡眠障害の原因になることがあります。皮肉なことにその傾向は真面目に取り組む子どもほど多く見られます。頑張ることにも限度があるといえるでしょう。
子どもの睡眠障害への対策
まずは、子どもの睡眠の状態を把握しましょう
子どもの不調や訴えを基に、睡眠の状態をできるだけ正確に捉えましょう。「睡眠障害の種類」も参考にしてください。
そして、主治医に相談しましょう。うつ病との因果関係を診断してくれます。
また、次のように、他の病気の可能性がないかを診断されます。
ほかの身体的な不調はないか?
痛みやかゆみ(じんましんやアトピー性皮膚炎)などが睡眠を妨げていないか、探る。
うつ病以外の病気の可能性はないか?
統合失調症の場合、急性期に不眠が起きやすく、回復期には過眠がおきやすいです。
ADHDの場合も、入眠障害や熟眠障害が起きやすくなります。
摂食障害の場合、体重が急激に落ちることによって、早朝覚醒が起きやすくなります。
つぎに、症状を改善させるための手助けをします
主治医による治療と、家族によるサポートで症状を改善させます。
主治医側
原因に合わせた治療を行います。カウンセリングや診察を行いながら、原因に合わせて適した治療を組み合わせていきます。
また、睡眠障害の改善には、入眠しやすくするマイスリーなどの睡眠薬をすすめます。ただし、自殺願望がある人は大量服薬をしてしまう可能性があるので、処方は慎重に行います。
家族側
規則正しい生活リズムをつくらせることが大切です。回復のレベルに合わせて生活のリズムを整えさせます。
具体的には、
- 学校を休んでいても、朝は起きて朝食を食べさせる。
- 朝の光を浴びさせる。
- 適度な運動をさせる。
- 日光浴をさせる。
- 夜更かし防止の為、夕食が遅くならないよう家族で調整する。
などがあげられます。
とくに、朝の光を浴びさせることは重要です。自然と覚醒モードに切り替わるからです。
そのために、朝はカーテンを開ける、ベッドを窓際に移動させるなどの工夫をすることをおすすめします。
また、適度な運動や日光浴は、夜の寝つきの改善につながります。
入院も手段のひとつ
それでも睡眠障害が治らない場合は入院という手段もとれます。管理された病棟の中で、徐々に生活のリズムを取り戻していくプログラムを実施します。子どもの睡眠障害を専門に扱う病院がありますので、気になる方は問い合わせてみるとよいでしょう。
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